QFNパッケージとは
ググってくださいどうして練習したの?
最近の部品は小型化が進み、TSSOPやQFPパッケージですら時代遅れとなりつつあります。新製品によくあるパッケージとして、BGA(Ball Grid Array)やQFN(Quad Flat Package)というものがあります。このうちBGAは、裏側にボールが並んでいるもので、手ハンダだと流石に付けるのが難しいです。一方QFNパッケージは、側面にパッドが並んでいるものなので、なんとか手で付けられるようです。インターネットで検索してみると、たくさんの先人の方々の例が出てくるかと思います。さて、電子工作をしていると、やはり新しい部品を使いたくなるものです。なんといっても、高機能ですし、性能も従来のものに比べると便利な物が多いです。特に、電源ICなどではTSSOPパッケージのものが少なく、QFNが主流になってきているような気がします。
そんな理由から、「QFNをそろそろ使えるようにしないと」と思い、今回(Digi-Keyに部品を買う機会があったので、ついでに購入して、)練習してみることにしました。
今回使った部品
今回使った部品は、以下の表に示す3つのICです。Digi-Keyで、『なるべく安く』『(JTAGなどで)動作確認がしやすい』『QFNパッケージの』ICをいろいろ探したところ、結果的にこうなりました。型番 | 製造メーカー | 説明 | 梱包形態/ケース | 値段 |
---|---|---|---|---|
XC2C32A-6QFG32C | Xilinx Inc | IC CPLD 32MC 5.5NS 32QFN | 32ピンVFQFN露出ボトムパッド | JPY 188 |
STM8S103K3U6 | STMicroelectronics | MCU 8BIT 8K FLASH 32UFQFPN | 32ピンUFQFN露出ボトムパッド | JPY 229 |
ATTINY48-MU | Atmel | IC MCU 8BIT 4KB FLASH 32QFN | 32ピンVFQFN露出ボトムパッド | JPY 147 |
なるべく安くといいつつも、200円程度の費用が掛かってしまったので、あまり安い練習ではないです…。
それから、実装する基板は、aitendoの『ピッチ変換(0.5) [QFN(0.5)32P-DIP36-5x5]』です。
利用したはんだごては、前に購入したgootのRX-802です。ハンダは0.6mmのを使ってます。
実装結果
まずは写真で。今のところまだATTiny48は実装していないのですが、その他の2つはこんな感じになりました。XC2C32Aのハンダ付け俯瞰。5ピンを付けるのに失敗してしまいました。 |
XC2C32Aのハンダ付け俯瞰(その2) |
STM8S103のハンダ付け俯瞰 |
…そうですね、XC2C32は5ピンを付けるのに失敗してしまいました。1-8ピンのある辺が、少しズレてしまったのです。最初、2ピン程度を仮止めしていたのですが、どうも位置調整に失敗してしまいました。ズラせないか試行錯誤しているうちに、5ピンのランドが熱で剥がれてしまったようです。
(幸い、5ピンはただのI/Oなので問題なかったですが…)
逆に、STM8S103の方は、自分で言うのもなんですが、まあまあまともに出来たような気がします。半田のフィレットがなんとか確認できる、ような。
STM8S103の様なパッケージは、『ダイシングタイプ』と言うようで、XC2C32Aのような『金型抜き打ちタイプ』に比べると、些か付けるのが難しいように見えます。しかし、実際やってみると、肉眼だとほぼ見えないような側面パッドにも、半田はちゃんと乗ってくれたようです。(さすがに側面パッド無しだと難しいでしょう…)
他に得られたこと :
- 外側リードが銅なら(STM8S103)、位置が正しく揃ってる時は、ランドに銅色が映り込むから分かりやすかったです。フィレットが形成されているかも、銅色が見えなくなったかどうかで、一応判断できる気がします。
- ハンダ付け自体は割と簡単でした。パッドが小さいので、TQFPパッケージの様に、ハンダがあまりブリッジはしませんでした。なので、コテに付いたハンダで、端から順に撫でていくようにするだけでどうにかなりました。(ただ、一度だけだと付いてないときもしばしば。)
- 逆に、ハンダ付けの確認は少し大変。小さいので、肉眼ではあまり見えませんでした。今回のように近接撮影するか、虫眼鏡などを通して見るのが良さそうです。
- 位置決めの方法ですが、3辺を確認しながらセロテープで固定→そのうち1辺をハンダ付け→セロテープを剥がして残りの1辺を確認、くらいしか思いつきませんでした…。
さて、今回は底面パッドのハンダ付けが出来ませんでした。横を付けてからだと、底の部分にはコテは入りませんからね…。予めランドにはんだを盛ろうとしましたが、そうするとICが浮き上がってしまい、側面パッドが付けられなくなってしまいました。なので、viaを通じて、裏面からどうにかしないといけないようです。
また、一度位置決めをして付けてしまうと、その後の調節は無理そうです。頑張ってリフローするか、クリップなどで周辺を囲い、一気に加熱などの方法が必要なようです。
けつろん
ということで、位置決めさえしっかりすれば、一応QFNパッケージも付けられなくないことが分かりました。動作確認はしてないですが…。しかし、手ハンダで付けるのが難しそうなQFNパッケージというのもあります。以下の様なものです。- 側面パッドが無いQFNパッケージ
- 金型打ち抜きタイプのうち、ダイパッドの露出があるもの
- 小さなパッケージで、底面パッドを付けるのに十分な大きさのViaが置けないほど小さいもの
脚注
QFNについては、以下のPDF文献などが参考になりました。Renesas, "QFN 実装マニュアル", http://documentation.renesas.com/doc/products/others/r50zz0005jj0150_pkg_qfn.pdf
写真は全て、OLYMPUSのTG-2で撮影しました。アウトドア用に購入したのですけど、マクロも強くて、その手の用途にも重宝しています。