こんなものを作りました。(Picasaで明るさ編集したらちょっと明るすぎだ) |
作ったもの
大学の講義でなにかモノを作らないといけなくなってしまい、その時+5V、+12Vの電源がモーターように必要になったので、電源を作りました。締切が設定されていて、あまり時間に余裕がなかったので、専用ICを利用しデータシートの回路そのままに作りました。
仕様
- 入力電圧 : AC 4.5V ~ 9V
- 出力電圧 : DC +5V、+12V 各4系統
- 変換方式 : DC/DCコンバータ(専用ICを利用)
- 基板のサイズ : 62.5mm × 51.5mm(実測)
- かかった値段 : ひみつ
大まかな設計
簡易電源を作ろうとした場合、まず「三端子レギュレータ」か「DC/DCコンバータ」かを考えました。
講義ではトランス(S.E.LのSP-905)が部品として提供されていたので、電源の大本はコンセントからのAC100Vとしました。次に、トランスの2次側規格が4.5V~9V出力だったので、出力電圧との差が大きいことから、損失を少なくするためにDC/DCコンバータを使用することにしました。
また、アナログ回路の実験などにも利用できるよう、DC/DCコンバータの出力に更にLDOを利用することで、ノイズを少なくすることを狙っています。
次にICの選定です。もっとスタンダードな品がある気がしてならないのですが、Linear Technologyのサイトで見つけたものを利用しました。
実際に利用したICは、+5V生成がLT3502A、+12V生成がLT1935です。
LT3502Aは、降圧型のDC/DCコンバータICです。Linear Technologyのサイトで、DC/DCコンバータICから今回の条件に当てはまるものを絞っていったところ、小ピンで残ったのがこれでした。
ありがちな降圧型DC/DCコンバータICですが、このICは電源の入力範囲が広いので使うことが出来ました。よくありがちな入力範囲2.5V~5.5Vのものは、今回は使用できませんので…。
LT3502Aの出力には、TPS79650を付けました。とてもノイズが小さく(40μVとか)、またドロップする電圧も低いので、今回にはうってつけでした。
これを選んだ理由は、いつも使ってるTPS736xxシリーズに+5V出力品がなく、同じTIで検索してたら出てきたから、というだけです。
LT1935は、昇圧型DC/DCコンバータで、なるべく部品数が少なく、ピン数も少なく、小さなパッケージのものを探していたら見つけたものです。SOT-23-5ですので小型ですし、少ない外付け部品で600mAも出力が取れるのでいいICですね(もっといいのあるかも/高いけど)。
確か、どちらかのICのデータシートが指定するコイルが見つからなかったので、(ついでに小型化も狙って、)同等スペックのものを利用した気がします。
出力は、ピンヘッダが2つと、XHコネクタで2つ出すようにしています。やはり多いほうが、色んなボードに給電するときに便利そうなので、こうしました。
回路図は以下です。
電源の回路図 |
細かい部品に話を移します。
最初のコンデンサですが、リプル量を抑えるべく計算したところ、この容量になってしまいました(計算式として何を使ったのかまったく覚えていない…)。また、トランスの出力が最大AC9V入力ですので、耐圧もそれなりのものを利用しないといけません。
本来ならばこのCも表面実装にしたかったのですが、表面実装品はDigikeyだと200円~450円程度とかなり割高に感じられたので、アキシャル部品を利用しています。
秋葉原で探してみたのですが、マザーボード用6.3V耐圧のものは沢山ありましたが、ちょうど欲しいスペックのものが見つかりませんでした。結局、今は16V1800μFのを載せています。
結論 : Digikeyで全部買おう
ブリッジダイオードも「ライブラリにあったから」という理由だけで選んでいます。ちなみにこのB10S、Digikeyで検索すると似たような商品がいっぱい出てくると思います。全部ピンコンパチだとは思っているんですが(未確認)、パッケージが少しだけ違うものがあ…った気がしたんですが、気のせいみたいです。
自分は、「まあ合わなかったら空中配線しちゃお」みたいなノリでMB10Sを買った気がします。普通にパターンにピッタリと合いました。要らぬ心配でしたね…。
そうそう、細かいことなのですが、コネクタのGNDのピンは全て同じ場所にするのも重要ですね。この基板は、他の基板と接続することを前提に作っているので、基板ごとにGNDの場所が違うと、間違った接続をするかもしれません。例えば、あるコネクタは"1 : +5V、2 : GND"で、別のコネクタは"1 : GND、2 : +5V"ですと、この2つを繋いだら負電圧がかかってしまいます。こういったことを無くすために、コネクタの配置は常に意識しておくべきだなあと感じました。
パターン図は以下です。このパターン図ですと、LT3502Aの1ピン(#SHDN)の配線がunroutedのままになっています。バグですので隣の0Ω抵抗と繋いでください。
電源のパターン図 |
毎回パターンを配置する時に思うのですが、ネジ穴とコネクタの位置は最初に決めるべきですね。これらの部品はかなり巨大なので、後から配置しようとすると、場所がないとかやりくりが大変だという事になりやすいです。気をつけなきゃ。
あまりちゃんとした論理的な理由は言えないのですが、整流回路の部分はベタグラウンドじゃなくしました。本当に、何か効果があるのかも分からないです。
また、+12Vと+5Vでは、GNDをなるべく別にしています。これは、どちらか片方だけが大電流を流した時に、もう片方に影響しそうだなあ、というよく分からない不安に基づいています。1点アースもどきです。
実際に作ってみて
部品を全て実装して、+5V→+12V(LT1935)と+12V→+5V(LT3502A)の動作を確認しました。ただし、無負荷時でしたので、最大出力近くでの挙動、ノイズの残有量、発振するかどうかなどは未確認です。実際に作ってみて気付いたことなのですが、ICのピンへの配線をPolygonで行ったところ、ピンによって細かったり太かったりとムラが出てしまいました。一番細いものだと、ピンの幅とほぼ同じ程度です。ちょっとしたことで切れてしまいそうで不安になります。次はもうちょっと等幅になるよう心がけたいです。
さて、バグについての話です。
最初、LT3502Aが+5Vを出してくれませんでした。発振もしていないようで、何を間違えたのか戸惑って、暫く別の+5V源を応急的に利用していました。
その後、家で落ち着いて各端子ごとに電圧を見ていったところ、1ピン(#SHDN)も0Vになっていて、なんでだ!?となり、それで配線ミスに気がつきました。最初、#SHDNは0ΩでVinに接続していたので、このピンには問題ないだろうと信じていたんですが、まさかのミスでした。
どうしたらこんなミスを防げるんでしょう?思いついたのは下の3つくらい。
- 最後に配線忘れがないか、[Tools]→[Statistics]でunrouted wireの本数を確認する
- PCBの編集画面で、Unrouted(20)層だけを表示して、目視確認する
- 人間はミスをするものだと信じる
EagleのStatistics画面。未配線のwireの本数が分かる。unroute"t"…??? |
Eagleで、Unrouted(20)層とDimension(21)層だけを表示した図。これだと分かりやすい。 |
とりあえずは以上。Bloggerはファイルをアップロード出来ないので、Eagleのファイル一式はありません。